増殖させた後にiPS細胞を再凍結できますか?

ヒトiPS細胞は自己再生能力を持ち無期限に維持培養できますが、大規模な継代は推奨しません。長期間にわたり未分化状態の健康な細胞を維持・拡大培養するには、綿密にモニタリングしてください。
研究室で新しいiPS細胞株を樹立するときは、特性を十分に評価したマスターセルバンクを作製後、約20週ごとに戻れるワーキングセルバンクの作製してください。細胞の自己複製傾向が高まるなどの選択的優位性が生じる体細胞変異は、時間の経過とともにiPS細胞の培養過程で固定化される可能性があります。このような選択は、培養で長期間維持されたヒトiPS細胞に見られる非ランダムな遺伝的変化の発生につながります。これらの変化は主に核型分析で検出され、通常、12、17、20およびX染色体、またはそれらの染色体断片の非ランダムな増加を伴います。そのため、約50継代で培養を終了し、ワーキングセルバンクから培養を再開することを最善の方法としてお勧めします。
STEMCELL Technologies社では、10継代ごとにGバンディングによるiPS細胞の核型分析を推奨します。iPS細胞で最もよくみられる8種の染色体異常をqPCRでスクリーニングできるhPSC Genetic Analysis Kitの導入もご検討ください。このキットには、独立した20サンプルをtriplicateで分析するのに十分な試薬が含まれています。
STEMCELL Technologies社ではWiCell Research Instituteと協力して、iPS細胞の特性評価とバンキングのサービスを提供しています。サービスの詳細はウェブサイトを参照するか、弊社へお問い合わせください。

【参考資料】
The International Stem Cell Initiative (2011) Screening a large, ethnically diverse population of human embryonic stem cells identifies a chromosome 20 minimal amplicon that confers a growth advantage. Nat Biotechnol. 29(12): 1132–44.

【関連情報】
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