ROCK阻害剤はいつ必要になりますか?

ROCK(Rho-associated, coiled-coil containing protein kinase)インヒビターとしても知られる、Y-27632(ST-72302)の使用は、細胞解離によって誘導されるアポトーシスを防ぐことにより、シングルセルとしてのヒト胚性幹(ES)細胞の生存を高めることが示されています1Y-27632は、細胞を(細胞塊でなく)シングルセルとして継代する場合、細胞を凍結保存する場合、および神経前駆細胞の生成のような特定の分化プロトコルで使用できます。 hPSCを細胞塊として継代する場合、培地にY-27632を添加する必要はありません2。また、Y-27632を添加すると細胞形態の質が低下したり、培養に意図しない影響を及ぼしたりする可能性があります3。 

 

参考文献

   1. Watanabe et al. (2007) A ROCK inhibitor permits survival of dissociated human embryonic stem cells. Nat Biotechnol 25(6): 681-6.

   2. Beers et al. (2012) Passaging and colony expansion of human pluripotent stem cells by enzyme-free dissociation in chemically defined culture conditions. Nat Protoc 7(11): 2029-40.

   3. Närvä et al. (2017) A Strong Contractile Actin Fence and Large Adhesions Direct Human Pluripotent Colony Morphology and Adhesion. Stem Cell Reports 9 (1): 67-76.